女性「フレイルって何か教えてください。」
こういった疑問にお答えします。
Taka「この記事を書いている私は,現役パーソナルトレーナーで,医療機関でリハビリテーションとしても働いています。栄養やトレーニング論を専門とします。」
フレイルは加齢に伴いさまざまな臓器機能変化などが起こり,ストレスに対する脆弱性が亢進した状態のことを言います。
医療用語のため難しく聞こえるかもしれませんが,簡単にいうと「加齢によって起きる体の不調」ですね。
自分には関係ないと思いますが,私たちの体は日々歳をとっています。20代を過ぎるとみんな加齢で体は弱くなっています。
「自分は大丈夫」といった根拠のない自信はすぐに捨て去り,まずフレイルとは何かを知ることから始めましょう。
本記事の内容
・フレイルとは
・3つのフレイル
・フレイルの診断基準
・フレイルは治るの?
・フレイルの何がいけないのか
・健康でいるために
・まとめ
フレイルとは
-
フレイル(frailty)
加齢に伴い,さまざまな臓器機能変化や予備能力の低下が起こり,外的ストレスに対する脆弱性が亢進した状態のこと
難しくなりましたね。
フレイル自体が医療業界で使われる言葉なので少し堅苦しい感じがしますが,内容は普通です。略すと「加齢によって起きる体の不調・不具合」という感じです。
加齢とは歳をとること。歳をとると,どうしても体には変化が起こります。それは老化であり,筋肉や骨,細胞から脳まで衰えます。
体が衰えると病気になりやすかったり,ときには認知症にもなる恐れがあります。そういった悪循環に陥ることがフレイルです。
人間なのでどうしても老化はしますが,自分がどういった状態なのかを理解することで,フレイルという状態を知ることができます。
皆さんはフレイルって聞いたことありますか?
フレイルは日本老年医学会が2014年に提唱した概念です。
さきほど,加齢によって体が衰える状態がフレイルと言いました。ですが,フレイルは病気ではなく状態のことを指します。
わかりやすくいうと,健康状態と要介護状態の中間の状態です。つまりグレーゾーン。
体は衰えているけども,動けている状態。健康でもないが,不健康でもないといったどちらにも転びそうな状態のことですね。
この状態の人が非常に多いんです。
自分は健康と思っていても,実は不健康でいつでも要介護状態になる危険性を秘めているのです。
良い言い方をすると,フレイルは健康になれる可逆性を持ち合わせています。健康になるためには,早期発見と早期対応が大切です。
まずは「フレイル」という言葉を知っていきましょう。
3つのフレイル
フレイルにも種類があります。
- 身体的フレイル
- 認知的フレイル
- 社会的フレイル
そのため,ひとことでフレイルといっても多くの種類のフレイルが挙げられます。
身体的フレイル
加齢による骨格筋量の低下や,食欲不振による慢性的な低栄養などが相互に影響しています。
・低栄養 ・サルコペニア ・運動機能低下
これらが悪循環となり,心身機能の低下を加速させることがあるので注意が必要です。
とくに身体的フレイルは起こりやすいです。加齢によって食事量が低下し,栄養素が低下することでどんどんと痩せていきます。
なかでも低栄養やサルコペニアは身体的フレイルの中核要因です。
認知的フレイル
軽度の認知機能障害はあるものの認知症には至っておらず,かつ身体的にはフレイルな状態のことをいいます。
・軽度認知障害(MCI) ・うつ ・認知症
認知機能の低下と身体的フレイルは合併しやすいことが研究でわかっており,生活習慣病や栄養障害,うつなどが関係しています。
加齢によっての認知面の低下も要注意です。
社会的フレイル
統一された定義はありませんが,「社会活動への参加や社会的交流に対する脆弱性が増加している状態」としています。
年齢を重ねるとどうしても外出の機会が減ります。すると,周りとは疎遠になり社会から離れていきます。
・閉じこもり ・孤立 ・孤食
こうした状態は社会的フレイルであり,加齢と共に悪化するといえます。
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フレイルの診断基準
フレイル日本語版CHS基準(J-CHS基準)
- 体重減少:6ヶ月間で2〜3kg以上の体重減少
- 筋力低下:握力:男性>26kg,女性<18kg
- 疲労感:(ここ2週間)わけもなく疲れたような感じがする
- 歩行速度:通常歩行速度<1.0km/秒
- 身体活動:①軽い運動・体操をしていますか?
②定期的に運動・スポーツをしていますか?
上の2つのいずれにも「週に1回もしていない」と回答
該当項目数
・0項目:健常
・1〜2項目:プレフレイル
・3項目以上:フレイル
いかがでしょうか?
フレイルの日本語版CHS基準は,海外モデルを日本語にしたものです。
この基準は主に身体的フレイルに焦点を当てたものになります。高齢にの方に当てはまりやすい項目ですが,40代以降の女性にも当てはまりそうな項目はいくつかあります。
「自分はまだまだ大丈夫」と思っている方でも,診断基準を見ると意外と当てハマりませんか?
フレイルは治るの?
結論からいうと治ります。
冒頭でもいいましたが,フレイルは「病気」ではなく「状態」を指しています。
歳を重ねるごとに体は老化しますが,それに気づかず毎日を過ごしている人がいます。病気でもない,健康でもないグレーゾーンの状態です。
いわばこの状態は,健康にも不健康にもなれます。放置すれば自ずと不健康まっしぐらですが,健康になりたいと意識することで健康になれます。
・早期発見が重要 ・早期対応が大切
この2つです。
早く今の健康状態を知り,対策を立てることが健康になる近道です。
「病気になったことないから大丈夫」
こういった誤った思考は避けて,一度さきほどの基準に当てはまるか試してみてください。
フレイルの何がいけないのか
では何故フレイルが良くないのか?と思われた方もいると思います。動けるし,生活も営めるから問題はないです。
ですがそういった方にも問題はあります。
それは病気を引き起こしやすくなるためです。
・風邪から肺炎 ・転倒し骨折 ・寝たきりへのリスク
フレイルは,ストレスへの抵抗力も低下している状態であり病気になりやすかったり,サルコペニア,低栄養といった状態へと進んでしまいます。
将来の日常生活への影響が大きく,フレイルが慢性化すると転倒,入院,施設入所,死亡のリスクが増大するため,早期発見し早期予防することが非常に大切です。
健康でいるために
- 栄養の摂れた食事
- 日頃の生活に運動を取り入れる
まずは食事と運動でしょう。
とくに1人で生活をしていると,栄養面で偏りがでたり運動をさぼりがちになる人が多くいます。
働き盛りの男女なども運動をしないとフレイルの予備軍です。
適切な運動量と,栄養の摂れた食事は一から勉強するのは大変です。専門の指導者やトレーナーに管理してもらうのが一番手取り早いです。
・運動不足? ・食事が合っているかわからない
という方はまずは,プロに聞いてみましょう。
まとめ
「フレイル」という言葉は医療人にはやっと浸透してきましたが,一般の人たちはまだ知らない人が多いです。
元気でいるつもりでも,実は今の状態が不健康である,といったことは非常によくあります。
痩せたいのに痩せない,,
こう思っている方も実は,そもそも筋力が普通の人よりも少ないのが原因だったりします。
次回はトレーナーとして指導してきた人たちの中にも隠れフレイルがいた事例などもご紹介します。
本日はここまでにします。