
女性「今転んだりしてないから,健康的です!」
この内容について深掘りします。

Taka「この記事を書いている私は,現役パーソナルトレーナーで,医療機関でリハビリテーションとしても働いています。栄養やトレーニング論を専門とします。」
脅しに聞こえるかもしれませんが,自分は若いから全く問題ありません!と思っている人ほど,不健康だったりします。そのひとつの症状が「つまづく,転びやすい」です。
人間はどうしても加齢によりつまづいて転びやすかったり,転倒につながったりします。これは60歳以上の高齢者に多いですが,現在では30代前後の若い人にも見られています。
この背景には「運動不足」が関係しており,重症化すると「ロコモティブ・シンドローム」という状態に陥ってしまします。病気ではないので安心してください。
今回は,身近にある「転倒リスク」と「ロコモティブ・シンドローム」について話していきます。
本記事の内容
・転倒・転落とは
・どうして転倒するのか
・転倒リスクは65歳から
・運動不足は30歳から
・ロコモティブ・シンドロームとは
・どう予防したらいい?
転倒・転落とは

転倒
倒れること
転落とは
階段や坂道などに接しながら落ちること
転倒はそのままですよね。
転落は言い換えると,高いところから地面に落ちるまでにあちこち体をぶつけることです。
若い人であれば「転ぶなんてあり得ない」と思っている人はたくさんいると思います。転んでも雪とか氷の上(雪国限定),あとはちょっとした段差につまづくくらい。
ですが,だんだんと年齢を重ねるごとに転倒するリスクは高まっていきます。それは体の衰えのサインであり,見逃してはいけない兆候です。
今まで転んだことのない人も,これからのことを考えて一度読み進めていってみてください。
どうして転倒するのか
転倒する要因は多くあります。
内的要因と外的要因のふたつに分かれますが,今回は内的要因に的を絞って話していきます。
内的要因とは,わかりやすく言うと体の内側に問題がある場合です。
・循環器:脳卒中,不整脈
・神経系:パーキンソン病
・筋骨格系:骨折
・視覚系:白内障,緑内障
こういった病気や怪我がある場合には,転倒・転落のリスクは一気に高まります。その中でも,加齢による転倒は非常に高い割合を占めています。
加齢による体の変化
- 最大筋力の低下
- 筋持久力の低下
- 反応時間の延長(反射速度)
- 感覚の低下
- 平衡感覚の低下
加齢によって体には大きな変化が訪れます。
先にあげた「変化」は転倒をもたらします。
例えば,足を上げる筋力が衰えていると階段でつまづきます。いつもであれば,反射的にパッと足が出たのに,足がもつれて転んでしまった。打ち所が悪く,足を骨折…なんてことはよくあります。
多くがこういった内的要因により転倒のリスクが高まり,怪我に発展します。
転倒リスクは65歳から
転倒は自分には関係がないと思っている人もいますが,他人事ではありません。
65歳を超えると3人に1人が,年に1回以上転倒しているというデータがあります。そして5歳年齢が上がるにつれて,そのリスクは倍増していきます。
厚生労働省の国民生活基礎調査によれば,介護が必要になった原因として認知症や脳血管疾患,高齢による衰弱に次いで,4番目に多い原因となっています。

年齢は精神発達においては成熟していきますが,身体面では徐々に低下していくものです。これは仕方ないことであり,受け入れる必要があります。
運動不足は30歳から
65歳から気をつければいいと安堵していると痛い目にあいます。
たしかにデータとしては65歳以上の人の転倒率が多いですが,筋力低下は30歳から起こり,最近のデータでは20代からも筋力・機能低下は起きているとの報告があります。
最大の理由
運動不足による筋力低下
とくに女性は男性よりも筋力が低く,筋力が落ちるスピードも高いです。筋力が少ないと付けるまでにも時間がかかるので,何も運動をしない状態はもったいないです。
ただし個人差があるため,運動歴がある人はそこまで衰えることはないかもしれません。反対に運動を全くしていない人は,筋力低下を招きやすく注意が必要になります。
どちらにしても早めの準備が必要ということです。
ロコモティブ・シンドロームとは
ロコモティブ・シンドローム
-
骨や関節、筋肉など運動器の衰えが原因で,「立つ」「歩く」といった機能(移動機能)が低下している状態
【ロコモ】なんて言ったりもされ,日本語で運動器症候群と呼ばれます。
先ほどいった加齢による身体の低下によって,歩けなくなったり,つまづいたりすることをロコモといいます。
この概念が医療界では非常に注目されています。とくに現代の日本人は運動をしなくなり,筋力低下が若年化しています。いわゆるグレーゾーンの人が増えてきており,自分がグレーとは認知していません。
それを防ぐためにもこの「ロコモ」という概念が広まっています。
ロコモはどんな年齢でも当てはまり「20歳だからロコモではない」とは言い切れません。簡単なテストがあり,それに当てはまるとあなたもロコモの仲間入りです。
下記に簡単にできるテストを紹介しますので,是非やってみてください。
ロコモテスト


結果
→できた場合は,②へ
できなかった場合は「ロコモ度2」
②片脚40cmができた/できなかった場合
判定
どちらか一方の片脚で40cmの高さから立ち上がれない
→移動機能の低下が始まっている状態
両脚で20cmの高さから立ち上がれない
→移動機能の低下が進行している状態
皆さん試してみましたか?
これは意外と難しいです。できなくても練習していれば,できるようになります。
どう予防したらいい?

- 運動不足を解消する
- 栄養のとれた食事をする
まずはこれから始めましょう。
どちらが欠けてもいけません。
ですが,いきなり運動を始めようしても,なかなかできないのが事実です。運動習慣がないために,筋力低下が生まれたわけですから。
そういう方には,EMSと呼ばれる電気刺激により筋肉を動かす機械がおすすめです。シックスパットのようなベルトをつけることで,筋力低下を抑えられたとの報告もあるので試してみるのもひとつです。
【シックスパッド アブズフィット2】
販売 | MTG |
価格 | 28,380円 |
シックスパックで全てが解決するわけではないので,運動をどうするかも併せて考えていきましょう。
【フレイルとは】意外と知らない体の衰え|早期発見で治ります|診断
私たちの体は加齢と共に衰えていきます。しかし多くの人は「動けるから大丈夫」と自分の体の老化に気づきません。フレイルは加齢によって起きる外的ストレスに対する脆弱性であり,多くの人が抱える問題です。代謝が悪い,体が不調と感じる方は実はフレイルの可能性があります。
まとめ
若いうちは仕事が忙しくて健康や運動について考える時間はありません。多少の無茶をしてもとくに異常はないですし,今は大丈夫かもしれませんが,そのツケは徐々に現れます。
毎日1,2時間も運動をするわけではなく,1分でも3分でも健康について考えてみませんか?
そうすると1ヶ月で30分は最低考えたことになります。その積み重ねは,いつか自分に返ってきますよ。
本日はここまでにします。