
女性「サルコペニアについて教えて欲しいです!」
こういった疑問にお答えします。

Taka「この記事を書いている私は,現役パーソナルトレーナーで,医療機関でリハビリテーションとしても働いています。栄養やトレーニング論を専門とします。」
以前,フレイルについてお話ししましたが,今回は身体的フレイルの中のサルコペニアについてお話しします。
サルコペニアとは加齢によって生じる骨格筋量と骨格筋力の低下を指します。筋肉が衰えることですね。加齢だけでなく活動量が減っている,栄養状態が悪いなどの様々な理由から筋肉が落ちてしまうことをいいます。
サルコペニアには「痩せ型」と「肥満型」の大きく二つに分かれます。どちらもベースはサルコペにによるもので,筋力低下が原因となっています。
この状態になると,そもそもダイエットをしたくても痩せられない状況が作られます。もしダイエットで効果的に痩せられない人は,自分がサルコペニア?と疑う必要がありますね。
本記事の内容
・サルコペニアとは
・痩せ型サルコペニア
・肥満型サルコペニア
・サルコペニアを治すには?
サルコペニアとは

サルコペニア
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加齢により骨格筋量が低下すること
骨格筋とは,意識して動かせる筋肉のことです。随意筋とも言いますが,腕や足,表情といった筋肉のことを指します。骨格筋以外では内臓を動かす平滑筋や心臓を動かす心筋があります。
つまり,意識して動かせる手や足の筋肉が,歳を取るごとに減っていくことをサルコペニアといいます。サルコペニアは病気ではなく状態を指しており,あくまでも筋力低下を表す言葉です。
高齢化社会では重要な状態として認識されており,65歳以上になるとサルコペニアの確率もあがるため,誰もがなる恐れがある身近な状態です。
サルコペニアの種類
サルコペニアには複数の要因からいくつかの分類に分けられています。
一次性サルコペニア
・加齢性サルコペニア
二次性サルコペニア
・活動に関連するサルコペニア ・疾患に関連するサルコペニア ・栄養に関連するサルコペニア
サルコペニアのほとんどの原因が加齢ではありますが,その特定は複数の要因から分けられています。加齢だけではなく,基礎疾患であったり,そもそも運動をしていないために筋力がない,など理由はさまざまです。
一概にサルコペニアと個人で判断するのは難しいため,筋力の衰えを感じたら医療機関での受診をおすすめします。
痩せ型サルコペニア
サルコペニアは筋力低下から,痩せ型と肥満型の二つに分けられます。
痩せ型サルコペニア
- ①筋肉が減る
- ②元から低栄養・食べない
- ③痩せていく
加齢による筋力低下だけではなく,食事をしないことで栄養面でのリスクを負ったパターンです。
痩せ型の場合は,元から身体機能が低い場合も多いため,食事も細く痩せていくことが多いです。こういったパターンは,運動やリハビリテーションを行なっても栄養状態が悪く,筋肉がつかないことから改善効果が低いとされています。
肥満型サルコペニア
肥満のサルコペニアにあるベースは,メタボリックシンドローム(症候群)です。
肥満型サルコペニア
- ①運動不足・食生活の乱れ+加齢
- ②筋力も減り,太る…
メタボリックシンドロームの要因は多くあり,他にも睡眠不足,飲酒,喫煙といったことから始まり,高血圧や高血糖を起こし肥満に向かいます。そこにサルコペニアによる筋力低下も相まって肥満を加速させます。
また,肥満型に関しては悪玉物質が分泌されるため,生活習慣病のリスクも高まります。太ると体へのリスクが増えるばかりです。
診断基準
EWGSOPと呼ばれる診断基準がよく使われます。
EWGSOP
項目 | 診断基準 |
四肢骨格筋量(ALM) | ALM÷身長(m)の2乗 男性÷7.23m2以下 女性:5.67m2以下 |
身体機能(歩行速度) | 0.8m/秒以下 |
筋力(握力) | 男性:30kg未満 女性:20kg未満 |
もしこれでハードルが高いという人には,AWGSを試してみてください。
EWGSOPはヨーロッパで使われており,日本人には不向きとも言われています。AWGSであれば,アジアを中心に使われてるため日本人に近い診断基準となります。
AWGS

まずは自分がどの位置にいるのか確かめてみると良いでしょう。
サルコペニアを治すには?
我が国での「サルコペニア診療ガイドライン」において,中心となるものは以下になります。
サルコペニアの治療
- 運動療法
- 栄養療法
やはり【運動】【栄養】この2つが非常に重要になります。
サルコペニアは加齢による筋力低下が原因となります。20代であれば極端に筋力低下は起きませんが,それでも20代をピークにあとは低下しつづけます。
ですが,20代以降は仕事やプライベートに忙しく,運動に割いている時間もないでしょう。とくに運動は普段の生活では忙しくて見流しがちな点です。
栄養面でもコンビニ食やファーストフードなど美味しい手軽な食事は山ほどあります。それらばかりを食べていると栄養なんて考えなくても平気になりますね。
こうした生活を根本から変えなければ,筋力低下は防げません。コツは毎日少しずつです。30代,40代,50代になってから,すべてを始めて習慣化するのは困難です。
なんでも良いでの取り入れてみませんか?
20代でもサルコペニア
サルコペニアは高齢者に多いのは明白です。
ですが,今では若い人でもサルコペニアの危険はあります。インターネットが普及した世の中には,運動をせずに家で過ごす人が増えています。
さらには仕事でもデスクワーク,遅くまで仕事をして運動をする習慣が作れない人が増えています。
そのサイクルから抜け出せず,若くして筋力低下を起こす人が増えているのです。とくに日本は先進国の中でもフィットネス人口がかなり低いです。
こうした生活から一刻も早く抜け出し,健康な体とこころを作っていくことをおすすめします。
明日は我が身です。
【転倒・転落を予防】筋力低下は30代から始まる|その症状ロコモかも
体が動くから大丈夫,若いから問題ありません,という人は要注意です。今,運動不足から若い年代でも筋力低下が起き,道端でつまづいたり転びやすくなったりする人が増えています。これはロコモティブ・シンドロームと呼ばれる状態の可能性があり,問題がないと思っている人でも一度テストをしてみてください。
まとめ
今回はサルコペニアについてまとめました。
気づいて欲しいのは,誰でも筋力低下になりうるということです。仕事ばかりこなしていては,わからないことはたくさんありますよ。
日々,人間は老化しています。やるなら,今からやりましょう。
本日はここまでにします。