健康

【ビタミンDと筋トレ】摂取すると筋肥大の効果|脂溶性ビタミン

「水溶性ビタミン」「ビタミンC」「ビタミンB群」については前回お話ししました。
それぞれビタミンは,「体にいい!」「お肌にいい!」と思っている方も多いですが,それだけではなく,タンパク質の合成を高めたり,代謝のサポートをしてくれるのに役立ちます。

つまりビタミンは,酵素を補う補酵素の役割を果たしているんですね。この補酵素を取ることで,代謝の活動をスムーズにしてくれます。

水溶性ビタミンと違って,脂溶性ビタミンは水に溶けにくい性質があります。
他にも様々特徴があり下に記載します。

脂溶性ビタミンの特徴
・体に蓄積しておくことができる
・ビタミンDでテストステロンが増える
・骨が強くなる
・強い抗酸化作用がある

といった特徴があります。
とくにビタミンDには,テストステロンの分泌を促進する働きがあり,筋肉をつけたい人には必須ですね。

今回は「脂溶性ビタミン」についてお話しします。

この記事について

・脂溶性ビタミンとは?
・それぞれの作用
・筋肉をつけたいならビタミンD
・テストステロンにも影響
・1日の摂取量目安
・不足すると

脂溶性ビタミンとは?

脂溶性ビタミンは,水に溶けにくく油に溶けやすいビタミン群の総称です。水溶性ビタミンのように尿に排出されることがないため,過剰に摂取した場合は人体に影響を及ぼす場合があるため注意も必要です。

調理する時には,加熱料理による損失が少ないため油で調理することで吸収率が高まります。

    ・ビタミンA
    ・ビタミンD
    ・ビタミンE
    ・ビタミンK

種類としては上記から構成されています。

過剰摂取

推奨量は後ほど説明しますが「どれくらい摂取したら,どれくらいの間隔を空けて摂取すれば良いか」という疑問もあるでしょう。脂溶性ビタミンは一般的に摂取してから,48時間は体内に貯蔵されます。そのため,一度に大量に摂取すると肝臓などで溜め切れなくなったビタミンが不要な箇所に流れ,悪さをするので気を付けましょう。

それぞれの作用

ビタミンA

・目や味覚の健康維持
・肌や粘膜の健康維持
・抗酸化作用

ビタミンAは,レチノール,レチナール,レチノイン酸の総称です。脂溶性ビタミンといったら,ビタミンAがまず先に思いつくはず。

β(ベータ)カロテンは,摂取すると小腸上皮細胞でビタミンAに変換されるため,プロビタミンA(ビタミンA前駆体)と呼ばれ,ビタミンAの仲間に分類されます。

レチノールには,目や皮膚の粘膜を健康に保ったり,抵抗力を強くする働きがあります。この物質は視細胞で光刺激に関与する「ロドプシン」という物質の合成に必要であり,不足すると薄暗いところで目が見えにくくなります。

ビタミンD

・カルシウム,リンの吸収を高める(カルシウム代謝)
・筋肉の機能向上

今回の主役であるビタミンDです。
ビタミンDにはD2〜D7まであります。
一番有名なところでは,正常な骨格と歯の発育促進があります。小腸でのカルシウムとリンの腸管吸収を促進し,血中カルシウム濃度を一定に調節することで,神経伝達や筋肉の収縮などを正常にする働きがあります。

ビタミンD1は誤った化合物に命名していたので,取り消しになり存在しません。
生理学的に重要なのは,ビタミンD2(エルゴカルシフェロール)とビタミンD3(コレカルシフェロール)のみです。
ビタミンD2とビタミンD3は同等の作用と考えられています。

日照時間を増やすことで,ビタミンD3に変換することもできます。

筋肉の機能向上については,のちほど後述します。

ビタミンE

・抗酸化作用
・善玉コレステロールの増加
・血行促進,貧血予防

ビタミンEには強い抗酸化作用があり生体膜の機能を正常に保ったり,赤血球の溶血を予防,生殖を正常に保つことに関与しています。
とくに強い抗酸化作用があるため,老化を防止してくれたり,トレーニングや仕事で疲れた場合には疲労回復の効果もあります。

ビタミンK

・骨の代謝
・骨の石灰化
・血液凝固

血液凝固に関与しています。血液が凝固するのには,プロトロンビンなどの血液凝固因子が必要であり,プロトロンビンが肝臓で作られるときに,補酵素として働くのがビタミンKです。
ビタミンKは骨づくりにも必要で、骨に存在するオステオカルシンというたんぱく質を活性化,カルシウムを骨に沈着させ骨の形成を促す作用があります。

骨粗しょう症の方の薬としても使われるため,骨の弱い方は摂取をおすすめします。

筋肉をつけたいならビタミンD


ビタミンDはカルシウムの吸収を促してくれたり,軟骨形成,歯を作るのにも重要なことで有名です。しかし近年では骨だけでなく,「筋肉増強」にも有効な栄養素であることが明らかになってきています。

(前略)ビタミンD欠乏に対するビタミンD補充療法の有効性についても筋力,身体の動揺,転倒頻度などに有意な改善をみたとするいくつかの臨床報告がある。(後略)

という報告もあります。
とくにタイプⅡ繊維(速筋)の萎縮が有意に改善されたという結果が多くあり,ビタミンDの必要性が裏付けられています。

そしてここ数年,筋肉にはビタミンDを受容するレセプターがあることも報告されています。そのため,ビタミンDを多く摂取することで筋肥大において,かなり効果があることが示唆されています。

テストステロンにも影響

もうひとつの報告としては,ビタミンDを摂取することでテストステロンを多く分泌されるという報告です。ある研究にてビタミンD補充を行ったところ,補充してない群と比較して大幅なテストステロンの分泌増加がありました。

テストステロンは,男性ホルモンの代表格であり筋タンパク質合成を高めてくれる作用があります。テストステロンが少ないと,筋タンパク質の合成能も減るため,ビタミンDの摂取はありがたいものです。

とくに睡眠時間が確保できていない方や,日照時間が少ない方にはおすすめです。

1日の摂取量目安

    ・ビタミンA:男850μg,女700μg(男女2700mg)
    ・ビタミンD:男女5.5μg(男女100μg)
    ・ビタミンE:男7mg,女6.5mg(800mg/650mg)
    ・ビタミンK:男75μg,女65μg(上限なし)

※()は上限値

不足すると

    ・ビタミンA:食欲不振,めまい,下痢,頭痛など
    ・ビタミンD:顔色が悪くなる,便秘
    ・ビタミンE:血液凝固障害
    ・ビタミンK:血圧低下,嘔吐

日々の食事でビタミンは摂取されているため,普通の生活で不足することはあまりないでしょう。しかし,運動をする方や筋トレする方は,その分ビタミンも消費するため不足しがちです。タンパク質の代謝にも多くを必要とするため,できるだけ摂取するようにしてください。

今回は以上にします。では!