仕事

【作業療法士の働く場所】病期によって変わる

前回は作業療法士の仕事を少しだけお話ししました。今回は勤務地や病期で,どういった仕事をしているかを説明していきたいと思っています。

作業療法士は,働く場所によって勤務内容やリハビリテーション内容も大きく異なります。とくに「病期」によっても違いますし,「科」によっても違います。
同じ職種にもかかわらず,場所が違うだけでリハビリテーションの内容も違うため,自分にあった場所を探し続けることができます。

国家資格をもっていると,全国の求人と自分のスキルがマッチすればどこでも働くことができるのも魅力のひとつかもしれません。

「どこで働いたらいいか」迷っているひとも,作業療法士について知りたい人も是非,読んでみてください。

この記事について

・働ける場所
・病期とリハビリテーション

働ける場所

・病院
・施設
・通所,訪問
・教育機関

大きく3つに分けられます。

病院

病院もさらに分かれており,総合病院,大学病院,クリニック…などなどたくさんあります。リハビリテーションを専門にした病院もあり,大きな病院になるとリハビリ職だけで100人を超えるところも優にあります。

総合病院

全科そろっている病院のことです。日本赤十字病院や市立病院なども含まれます。基本的に総合病院はリハビリテーションよりも「手術」などの治療を目的としているため,勤務する場所によっては,患者さんが1週間〜1ヶ月ほどで退院することも珍しくはありません。
しかし,全科の患者さんがいるため,他の病院では体験できない幅広いリハビリテーションを経験することができます。
身体障害,精神障害,発達障害,ほとんどの患者さんが入院していることが多いです。

大学病院

医療だけでなく教育や研究といった役割もある病院です。そのためリハビリテーションにおいても,リハビリだけでなく研究や勉強会といった活動も多くしています。他の病院では見れない難病の患者さんも入院されていることが多いです。
研究に費やす時間も多く,自主的に残業している人も少なくないはずです。

クリニック

「〇〇クリニック」といった名前で営業しているお店が多いと思います。例えば〇〇の部分には運営している先生の名前が入っていることが多いと思いますが,診療科でいうと整形外科やリウマチといった専門のクリニックが多いはず。専門に特化して働きたい人向けです。
残業も少なく,定時で帰れることが多いです。

施設


高齢者が入居している施設が多いです。他にも発達障害のひとが多く入居している施設など,幅広い施設が多くあります。

介護老人福祉施設(老健)

医療ケアやリハビリを必要な要介護状態の高齢者(65歳以上)を受け入れています。自宅に帰れない人が一時的に入居し,リハビリをして自宅に帰れるようにする施設です。

特別養護老人ホーム(特養)

在宅での生活が困難になった要介護の高齢者が入居できる,公的な「介護保険施設」の1つ。ひとりでは生活が困難なひとが入居しており,現場の身体機能を維持するためにリハビリを行います。

通所・訪問

通所は事業所があり,入浴・食事・リハビリのサービスを受けます。訪問では自宅まで行き,看護処置やリハビリを行うサービスです。基本的には要介護や要支援の人がサービスを受けられます。

通所介護(デイサービス)

事業所の職員が利用者の自宅まで迎えに行き,入浴・食事・リハビリを目的に通うことをいいます。主にリハビリよりも入浴や食事を目的に通われることが多く,夕方には帰ります。

訪問介護

自宅でも生活したい利用者さんに対して,排泄,入浴といったサービスを提供することです。自宅にいながら看護やリハビリテーションを行うことで,その人らしい生活をサポートします。

教育機関

大学や専門学校の講師,先生のこと指します。作業療法士は臨床経験5年以上で教員になることができるため,今後教育を視野に入れている人は考えておきましょう。

大学・専門学校

学生への講義,実技指導,国家試験対策といった卒業まで全ての指導を行います。3〜4年までの長い間での指導になるため,学生とのコミュニケーションが大切になります。
臨床から離れるといったデメリットもありますが,その分学術面での知識を深めたり,外部との交流もありメリットも大きいです。もし転職する際には「教員」としての価値も高まります。

病期とリハビリテーション


病期には大まかに急性期,回復期,生活期の3つに分けることができます。今回は身体障害分野での病期を説明します。

急性期(〜2週間程度)

病期や手術,怪我によって安静が必要な時期。この期間はある程度の安静や治療が必要ですが,安静にしすぎると廃用症候群(筋力低下)を招く恐れもあります。
この病期のリハビリができるのは,総合病院や大学病院です。大きい病院で働くほど,救急で運ばれてくる人も多く,急性期の患者さんも多いです。
急性期は早期離床を目的に介入することが多く,作業療法の「応用動作」よりも理学療法と一緒に基本動作の「起きる,座る」の動作をすることを目的になります。総合病院,大学病院ではすぐに回復期に転院することが多く,作業療法をしたい方には不向きかもしれません。

回復期(2週間〜3ヶ月)

治療が終了,もしくは状態が安定しリハビリテーションが必要になった方の期間。回復期病棟があるリハビリテーション病院に移り,リハビリを長期にわたって行います。
この時期のリハビリテーションがいちばん回復しやすいと言われており,患者さんの日々の変化を捉えることができます。自宅に帰るまでサポートしたり,病気に対しての需要を支援,環境調整をしたりと作業療法としての「やりがい」を感じる時期です。

生活期

自宅に帰宅した後,生活に慣れるまで支援していきます。生活期でも身体機能は日々変化し,そういった生活期の不安をリハビリテーションを通して介入していきます。
通所リハビリや訪問リハビリ,老健などがこの時期にあたります。老化による身体機能の低下や,病気の再発防止につなげます。
生活を支える意味で,生活期のリハビリテーションは重要な役割を果たします。

他にも…

本日紹介した内容は,ごく一般的な内容です。スポーツリハビリテーションや発達障害分野,精神障害でもまた違ったリハビリを提供することができます。
最初の働く場所はどこがいいかわからないです。最初から自分に合う場所はわかりません。働きながら自分に合った病期や病院がわかるはずです。