テストステロンは声変わりや体毛を生やしたり,骨格の形成,筋肉を作る上で大切な男性ホルモンです。そのテストステロンは毎日を普通に過ごしていてもカラダから分泌され,年齢によって徐々に分泌量が低下してくることがわかっています。
分泌量が減ると,テストステロンの作用である筋肉量を維持・向上(タンパク質の合成を促進)してくれる効果が減っていきます。
とくに男性の更年期障害(LOH症候群)という言葉があるように,男性の更年期によるテストステロンの低下が問題になっています。
男性ホルモンであるテストステロンが低下すると,筋肉量が低下,疲労感,精神面ではイライラやうつ症状を引き起こしたり,生活習慣病になるリスクもあるとの報告もあります。
男性の更年期障害は,運動や食生活など日々の努力で改善することも可能なため,少しずつ取り入れて改善していくことをおすすめします。
この記事について
・テストステロンについて
・男性の更年期障害(LOH症候群)について
・チェックリスト
・診断基準
・低下を防ぐには
テストステロンについて
以前の投稿で書いてあるので見てみてください。
【テストステロンとは】筋トレや健康との関係性
テストステロンは男性ホルモンの代表格で,髭や男性らしい体をつくる,声変わりとった二次性徴に不可欠なホルモン。成人になってからも骨格形成やタンパク質の合成を促したりと人体には不可欠なホルモンです。女性も男性の5-10%程度分泌されています。
テストステロンは男性ホルモンの中心的な存在です。
そのほとんどがテストステロンで作られており,テストステロンのおかげで筋肉を維持できたり,気力に満ち溢れる,性欲を維持することができています。
男性の身体面・精神面の両者を支えてくれるのがテストステロンの大きな作用のひとつです。
男性の更年期障害(LOH症候群)について
あまり知られてはいませんが,女性に更年期障害があるように男性にも更年期障害があります。
男性更年期障害(LOH症候群)
男性ホルモンの欠乏によって起こる症状
・30代後半〜50代の働き盛り
・加齢と共に減っていくテストステロンによるもの。
・他にも重度のストレスや環境の変化によって血液中のテストステロンが低下し,LOH症候群の症状が現れやすくなります。
・ほてり,のぼせ,冷え
・動機,呼吸困難
・不眠(睡眠障害)
・頭痛
・不安
・うつ,イライラ
・筋肉量の低下
・めまい,耳鳴り
・発汗,全身倦怠感
・頻尿
・性欲低下,勃起力低下
・物忘れ
・体毛の変化
他にも,テストステロンは脂質・糖質代謝の働きもしており,テストステロンの低下によりメタボリックシンドロームや糖尿病のリスクも増大することがわかっています。
生活習慣病の原因にもなりえます。
加齢男性でのテストステロン減少は,抑うつ状態,性機能低下,認知機能の低下,骨粗鬆症,心血管疾患,内臓脂肪の増加,インスリン抵抗性の悪化,HDLの低下, コレステロール値とLDLの上昇に寄与し,メタボリック症候群のリスクファクターになる。
40歳での2~5%,70歳の30~70%でテストステロン値の低下が見られるとされている。
チェックリスト
27〜36点:軽度低下
37〜49点:中等度低下
50点〜 :高度低下
診断基準
診断基準には遊離型テストステロンの量を測定することでわかります。5.1〜19.0が基準値と言われているため,それ以下に該当する場合は注意する必要があります。
8.5pg/ml以上~11.8pg/ml未満=男性ホルモンが低下傾向
(ボーダーライン)
8.5pg/ml未満=男性ホルモンが明らかに低い
遊離型テストステロンの採血は,午前中に行うことが推奨されています。そのほか「身体症状」「精神症状」「性機能に関する症状」などをチェックします。
遊離型テストステロン
血中に存在するテストステロン
低下を防ぐには
テストステロンは体に大きな影響を与えるホルモンであることがわかりました。身体的・精神的の両面での影響が大きく,ホルモンが低下すると筋肉量が減ったり,落ち込んだりしてしまします。これだけでも改善しなければいけない理由にはなりますが,それでも行動しない人はいるはずです。
では,具体的にどういった行動を取る必要があるのかを解説していきます。
良質な睡眠をとる
睡眠時には脳の下垂体から黄体下ホルモンが分泌されます。黄体下ホルモンはテストステロンを分泌させる働きがあり,睡眠がとれないとテストステロンの分泌が抑制されてしまいます。
テストステロンの分泌低下を防ぐには,まず手っ取り早く寝るのが一番だということです。
運動を習慣化する
運動を全くしない人と運動が習慣化されている人のテストステロンの量を比較すると,運動を習慣化している人のほうがテストステロンの量が多いことがわかっています。
運動はホルモン生成のためにも不可欠なものです。加齢による筋力低下も防ぐことができ,必須な項目です。とくに男性ホルモンが低下しがちな40歳代からは,脂肪の代謝も低下するため病気にもなりやすいです。
また,激しい運動を行うとかえって分泌が抑制されるため,適度な運動を心がけましょう。
ストレスを減らす
ストレス=交感神経が働く状態です。
前述したとおり睡眠時のような副交感神経が優位な状態でテストステロンは分泌されます。しかしストレスが溜まった状態のような交換神経が優位な状態はホルモンの分泌を抑制します。
実際にストレスが低い人はテストステロンの分泌も多く,疲労感も少ないとの報告があります。ストレスがかかりやすい人は,1日の中でリラックスできる様な時間を作るのが大切です。
食事を変える
普段の食事からテストステロンの分泌を変えることもできます。テストステロンの生成を手助けしてくれる栄養素や酵素の働きをもった食材を取ることで,改善していきます。
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テストステロンの分泌を助ける
・亜鉛
・硫化アリル
・セレン
それぞれ精巣発達やテストステロンの発達に関与しています。
テストステロンの低下による怖さはわかっていただけたと思います。テストステロンだけでなく,まずは自身の生活を見直してくみてください。すると,カラダは快調になり何事にも活力が漲ってくるはずですよ!