女性「コエンザイムQ10って何ですか?」
こういった疑問にお答えします。
Taka「この記事を書いている私は,現役パーソナルトレーナーで,医療機関でリハビリテーションとしても働いています。栄養やトレーニング論を専門とします。」
以前,L-カルニチンは脂肪を細胞内のミトコンドリアに運ぶという話をしました。運ばれた脂肪は,ATPとしてエネルギーに変換されますが,このときに使われるのが「コエンザイムQ10」です。脂肪が燃焼されるのは,コエンザイムQ10のおかげなんです。
他にも,抗酸化作用があったりと,私たちの体には不可欠な補酵素です。
今回は,コエンザイムQ10についてお話しします。
本記事の内容
・コエンザイムQ10とは
・コエンザイムQ10の働き
・体への効果は?
・ダイエット効果はあるか
・過剰摂取,摂取不足
・多く含まれる食品
コエンザイムQ10とは
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コエンザイムQ10(CoQ10)
細胞の中のミトコンドリア内膜などに存在する補酵素のひとつ
他にも「ユビキノン(UQ)」「補酵素Q」と呼ばれたりもします。ビタミンQと呼ばれていた頃もありますが,生体内(肝臓)で合成できるため,その呼び名はなくなりました。
生体内には60兆の細胞に,数京個のミトコンドリアが存在しており,そのミトコンドリアで重要な役割を果たしているのが,コエンザイムQ10です。
コエンザイムQ10の種類
主に2種類あり,生体内の95%は還元型CoQ10で維持されています。
・還元型CoQ10(ユビキノール)
作用については本文中に後述します。
コエンザイムQ10の働き
- ①生体内でのATP生成
- ②抗酸化作用
主な働きは2つです。
①生体内でのATP生成
エネルギー源のひとつにATPがあります。
ATPは,細胞内のミトコンドリアで糖や脂肪酸を分解して作られます。このとき,脂肪酸を分解し,ATPを生成する補酵素のひとつとしてコエンザイムQ10があります。
つまり,コエンザイムQ10はエネルギー生成の補酵素として非常に重要な役割があり,不足すると脂肪酸代謝能も落ちます。
・脂肪燃焼効果
簡単にいうと脂肪燃焼の効果ですね。
②抗酸化作用
コエンザイムQ10には抗酸化作用があり,これには先ほど出てきた還元型CoQ10が使われます。
還元型CoQ10が,直接に活性酸素に働きかける効果は薄いですが,強い抗酸化作用のあるビタミンEのラジカル消去(ビタミンEを再生させる)を活性化させる特徴があります。
ビタミンEを再生した還元型CoQ10は,酸化型CoQ10となり,肝臓に吸収されたのちに還元され,再び還元型CoQ10として血液中に戻ります。
- 1)還元型CoQ10がビタミンEを再生
- 2)還元型CoQ10→酸化型CoQ10
- 3)肝臓を通り→還元型CoQ10
この2つの作用が主な働きになります。
体への効果は?
- 基礎代謝の向上
- 体の疲労を軽減してくれる
- ・アンチエイジング効果
基礎代謝の向上
ATPの生成に関わっているコエンザイムQ10は,より多くのエネルギーを作ってくれます。
事実,コエンザイムQ10を摂取すると,血中の還元型CoQ10濃度が上昇します。ATP合成量自体も増加することが報告されており,コエンザイムQ10によって糖質や脂肪酸からのエネルギー生産能が向上します。
筋肉を増やすことで基礎代謝は向上しますが,細胞自体からも活力的にする必要もあります。
体の疲労を軽減してくれる
運動をするとどうしても,活性酸素という副産物が発生します。吸った酸素の数%は活性酸素になります。この副産物は,体へダメージを与え,疲れやだるさとして悪さをします。
コエンザイムQ10の還元型CoQ10には,抗酸化作用があるため疲労軽減の効果があります。
日頃,疲れが溜まっている方や,運動疲労がある方は,積極的に摂取するのが良いでしょう。
アンチエイジング効果
抗酸化作用にはアンチエイジング効果があります。アンチエイジング効果は多く知られていますが,そのひとつに老化防止効果があります。
マウスの研究にて,還元型CoQ10を摂取したマウスの老化が遅延されたとの報告もあります。人でもサプリメントを摂取している,血中還元型CoQ10濃度が高い人には,ストレスや精神面,認知面など老化に関与する数値が改善していることがわかっています。
もちろん,美肌効果とったアンチエイジング効果も備わっています。シミ,くすみを防ぎ,肌の白さを維持することにも,効果を発揮してくれます。
ダイエット効果はあるか
コエンザイムQ10には,脂質を燃焼してくれたり,エネルギーとして代謝を高めてくれる効果があります。ダイエット効果としては,運動と合わせて行うことで,その効果を高めてくれる報告があります。
ですが,コエンザイムQ10のみでダイエットができる,という報告は多くなく,単体での効果よりも運動との相乗効果として摂取するのが良いでしょう。
加齢によって低下する?
肝臓で生成されるコエンザイムQ10ですが,年齢によって分泌は低下します。
・心臓内40代で44%減,80代で60%減
筋肉や臓器,とくに心臓,腎臓,肺,膵臓に多く存在し,心臓以外にも分泌は年齢によって大幅に低下します。
また,コエンザイムQ10の分泌量も低下し,それに応じてミトコンドリアのATP生合成速度も低下します。若年者に対して高齢者では48%も低下しており,加齢によりエネルギー生成は格段に落ちるのです。
いくら体によって作られるとはいえ,加齢による分泌低下は抑えられません。
もし運動して痩せにくいなと思ったら,運動もそうですが細胞自体にも栄養を与えることが必要かもしれませんね。
過剰摂取,摂取不足
過剰摂取
一般的に,摂りすぎによる副作用は報告されていません。一部,医薬品を摂取して,胃の不快感,食欲不振,下痢,吐き気などを訴える例もありますが,コエンザイムQ10によるものかは確認が取れていません。
サプリメントとして,摂取する場合は,その容量内での摂取をおすすめします。
摂取不足
・疲れやすい
・冷え性
主にエネルギー不足からくる症状が挙げられます。上記の症状が出現した際には,注意しましょう。
多く含まれる食品
・サバ :4mg
・牛肉 :3mg
・ブロッコリ:1mg
食事からの摂取だけでは多くを摂取できないため,加齢で低下が気になる方はサプリメントからの摂取もおすすめです。
まとめ
加齢により筋肉などの見た目だけでなく,体の細胞も老化します。そういった場合,運動で体を元気にすることも大切ですが,サプリメントで体に栄養をあげて,若々しくすることも大切です。
運動だけで痩せないと思ったら,コエンザイムQ10のサプリメント摂取もおすすめです。
本日はここまでにします。