健康

【知っておきたい亜鉛の効果】運動するなら必ず摂取するべき

女性「亜鉛はどうして必要なの?最近ネットで亜鉛は大切っていうけど,必要性が感じられなくて。」

今回はこんな質問にお答えします。

この記事を書いている私は,現役パーソナルトレーナーで,医療機関でリハビリテーションとしても働いています。栄養やトレーニグ論を専門とします。

亜鉛は,300種類以上ある酵素の構成成分となり,タンパク質を合成する酵素の働きを助けています。
つまりは,タンパク質を合成する助けをしているので,とくに運動をする人は積極的に摂取した方がいいです。

近年では,加工食品の取りすぎや偏食,アルコール過飲から亜鉛不足も加速。不足するとさまざまな問題も出てくるため,男女問わず積極的に摂取したい栄養素です。

本記事の内容

・亜鉛とは
・作用
・1日の摂取量目安
・どういう人が効果的?

亜鉛とは

    亜鉛
    ・成人の体内に約2g
    ・約300以上の酵素に関与
    ・骨,筋肉など全身に分布

亜鉛は成人の体内に約2g含まれています。
成人ではそのほとんどは筋肉と骨中に含まれており,他にも皮膚,肝臓,膵臓、前立腺など多くの臓器に存在しています。

体内で行われるさまざまな代謝活動やホルモン分泌に関与し,人間の成長や生命維持に貢献しています。

人の体にとって重要な微量ミネラルで,生体内の300以上の酵素反応に関与しており,そのため亜鉛不足による症状は実に多彩です。

作用

    亜鉛の作用
    ①酵素の活性化
    ②細胞分裂・新陳代謝
    ③活性酸素の消去
    ④健康な成長
    ⑤精子・卵子を作る
    ⑥免疫力を高める
    ⑦味覚に関わる
    ⑧血糖値を下げる
    ⑨タンパク質の合成を高める

①酵素の活性化

2,000種類以上ある酵素のうちの300種類以上の酵素の生成に必要と言われています。そのため,酵素を活性化させます。

②細胞分裂・新陳代謝

亜鉛は細胞分裂におけるDNAの複製にも不可欠な成分で,細胞の生成が円滑に行われるよう支えています。

③活性酸素の消去

SOD(スーパー・オキサイド・ディスムターゼ)という抗酸化酵素の材料になります。SODは体内で過剰となった活性酸素を除去してくれる効果があります。

④胎児の成長

妊娠中は細胞分裂がとても多く起こるため,亜鉛が大量に必要となります。

⑤精子・卵子を作る

精子の生成に関与することは有名ですが,女性にも影響はあります。卵子には亜鉛が多く含まれているため,不足すると生理不順にまで関与するとの報告もあります。

⑥免疫力を高める

新陳代謝による働きで,免疫細胞を活性化する働きがあります。

⑦味覚に関わる

味覚を感じるところは舌ですが,舌には味蕾細胞という細胞があります。食べ物が唾液に溶けて,味蕾細胞に入り込みます。その時に,亜鉛が不足していると,味を感じにくくなります。

⑧血糖値を下げる

亜鉛を摂取すると,血糖値を低下させるという報告があります。血糖値を下げるインスリンをの原材料となるため,血糖値を気にされている方は必須です。

⑨タンパク質の合成を高める

亜鉛にはタンパク質を合成するための材料となります。不足すると,せっかくトレーニングで鍛えた筋肉が合成されにくくなります。普段の食生活で不足を感じている方は積極的に摂取しましょう。

1日の摂取量目安

・18〜69歳(男性):10mg
・18〜69歳(女性):8mg
許容量
・18〜29(男性):40mg
・30〜69(男性):45mg
・70歳以上(男性):40mg
・18歳以上(女性):35mg

過剰摂取


日常生活での食事では,過剰摂取の起こる可能性は低いです。とりすぎはカラダに悪影響を与える報告があるため,サプリメントの取りすぎは十分に気をつけてください。

過剰摂取
①前立腺肥大のリスク増加
②銅の吸収を阻害による銅欠乏
③嘔吐障害
④免疫障害
⑤消化管過敏症
⑥HDLコレステロールの低下
⑦下痢

前立腺肥大は,1日に100mg以上の摂取や,10年以上にわたって摂取している方がなりやすいとの報告もあり,注意してください。
亜鉛の取りすぎは,銅の吸収を阻害することがあり,それによる貧血も起こります。

適量だと健康には良いですが,健康を害することもあるため,気をつけてください。

不足すると

不足
①貧血
②食欲不振
③生殖機能の低下
④脱毛
⑤免疫力の低下
⑥低アルブミン血症
⑦認知機能障害
⑧皮膚炎

とくに気になるのが生殖機能の低下です。男性の場合は,精子に関わるため不足すると精子の数が減ります。女性の場合にも,不足するとホルモンの分泌に関与したり,卵巣の働きが低下し生理不順が起きる原因にもなります。

実際,亜鉛と生殖機能に関する研究は多く発表されています。

皮膚炎では,亜鉛不足によりタンパク質の合成が低下すると,皮膚を正常に作ることができなくなり,肌荒れが起こります。

過剰摂取も悪影響ですが,不足すると,こちらも体には良くないので適量を心がけましょう。

コンビニ食で亜鉛不足?

①偏食の増加・ファーストフードや加工食品で亜鉛不足
②慢性肝疾患の亜鉛吸収障害
③アルコール過飲や多剤内服による亜鉛過剰消費

これらの生活習慣からも亜鉛は不足したり,消費されたりしています。タバコに含まれるニコチンを排除しようと,活性酸素を作り出す亜鉛やビタミン群は大量に消費されてしまいます。

まずは,ご自身の食生活を見直すところから始めましょう。

どういう人が効果的?

運動を頻繁にする人

筋トレやトレーニングを行う人は亜鉛をしっかりと摂ることをおすすめします。亜鉛は,タンパク質の合成を高めてくれるため,筋トレの効果を高めます。

また,亜鉛を摂取することで男性ホルモンである,テストステロンも多く分泌されるとの報告もあります。

テストステロンが低下する要因のひとつとして,睡眠不足や運動不足があります。また,毛髪の亜鉛の濃度が高い男性の方はテストステロンが高く,亜鉛の摂取がテストステロン維持に重要であるという報告があります。

これらの観点からも,亜鉛は運動をする人をサポートしてくれます。

糖尿病の人

さきほども話したように,亜鉛はインスリンの材料になります。インスリンが増えることで,血糖の吸収が促進されて,血糖値の上昇を抑えられます。

事実,糖尿病患者の方に「亜鉛」を補充する人もいたり,亜鉛を積極的に摂取することで,血糖値が低下している人が多くいます。

・運動をしている人
・ひとり暮らしで偏食の人
・飲酒,喫煙者の人
・コンビニ食が多い人

生活習慣が乱れやすい人は,是非検討してみてください。

本日はここまでにします。